大奥~男女逆転~
このお正月にひとつやり遂げたことと言えば、よしながふみの男女逆転『大奥』を読み終えたこと。
素晴らしかった。
ただの男女逆転ものでしょ?と思っていたが、
歴史の復習にもなるし恋愛観や性に対する生物的役割について、考えさせられた。
これを構成して書ききったよしながふみほんと凄い。
歴史について
正直江戸幕府については学生時代の教科書レベルしか知りません。
王政復古の大号令や大政奉還なんて言葉が出てきたときは「どんなんだっけ?」と思ったりしましたが、漫画主導で話が進むのでわかりやすかった。
授業で教科書の中から読み解く歴史は、
感情がなくただ文字を読んでるに過ぎなかったけど、漫画は感情の上で話が進むので理解がしやすい。
ただ、漫画は誰目線で話を進めるのかによって見え方が違ってくる。
正義と悪も誰目線で描くかによって「何」が正義なのかが違う。
同じように、「誰」の目線で描くかによって印象が左右されることを常に意識しながら読まないと、史実とフィクションを混同してしまうので注意したい。
この漫画を通して、
江戸幕府の流れが掴めたので、
再度歴史書を学び、
もう一度この漫画を一から読みたい!
きっとまた新たな発見があるだろうな。
その日が楽しみです。
恋愛観や性について
バランスがとても面白い。
純粋に恋愛して結婚している人もいれば、
政略結婚ののち愛が芽生えるパターンがあったり、
側室と恋に落ちたり、同性同士の恋愛があったり、
一作品に色んなバリエーションの恋愛がある。
中でも、政略結婚みたいに形から入って愛情を育てていくパターンは全く理解出来なかったけれど、
見方を変えれば「誰が来ても仲良くなる」スキル(覚悟)を持っているということ。
すごいコミュ力と協調性なんだなと思いました。
そして「血筋を絶やさない」という考え方がいかに動物的であるかってことがよくわかる漫画だった。
男児が病によって少なくなる世で、
男を「子種」として見ることに拒否感を覚えたけれど、生物学的には当たり前のことなのかもしれない。
女が将軍になれば、子はその女将軍からのみしか誕生しない。
つまり1人から沢山作りだされなけばいけない。良くて1年に1人程度。
しかし男が将軍になり、多くの女と関係を持てば1年に何人でも可能。
子どもが長生き出来る時代でないのなら、予備のため沢山産むという考えも納得する。
(個人的に、子どもが物のように表現されるのは好きじゃない。)
そのため、子孫を繫栄させるという意味では一夫多妻制は合理的だな。
昨今のLGBT白熱において、私は人それぞれ好きなように生きたら良いと思います。
他人に対して他人が口出しをするな。
それに尽きる。
多種多様な考え方と生き方を、
それぞれが選択したらいいと思うし、
それに対して他人が人の生き様を笑うなと思います。
ただ、生物学的能力と社会的能力は分別する必要はある。
漫画の中でも、「女が政治などするから世がおかしくなった」と言われていたが、そんなバカな理論はない。
「女だから○○は出来ない」「男だから○○は出来る」なんてクソくらえ。
社長も政治家も医者も保育士もどんな仕事も、
性別関係なく職務を全う出来る。
だけど、子どもは女性がいないと生まれない。
そして男性がいなければ妊娠は出来ない。
そういった、絶対に超えられない壁だけは差別化する必要はある。
最後に
全体を通して思ったことは、
『忠誠』を近いたくなるような魅力的な人物が人を動かせる。
年々高まっている信頼社会において、この将軍や数々の偉人たちはいいお手本になるなと思いました。
面白かった!!
大奥!!